譜面エディタを開発していたら別のプロダクトで使われていた話

はじめに

2017年より開発していたChedを「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」における譜面エディタとして採用いただきました。

自分自身予想だにしないことであったので、経緯と見解についてまとめます。

経緯

プロセカの譜面データについてリプライで教えてもらう

今回の発端となるツイートです。
当時は出先でこのリプライを確認したのですが、よく理解できないまま電車に乗っていました。

改めてスクリーンショットを見て、確かにUserAgentにゲーム名が入っていること、ドメインが開発元であるColorful Paletteのものであることを理解しました。
自分の目で見ないことには確証が持てないので、実際のURLにアクセスしてバイナリデータをDLすると、確かにChedの文字を確認。
どうやら本当に本当らしいことを認識しました。

正直不具合もあるので業務用途として耐え得るのかという心配もありましたが、ただただ驚いて帰宅しました。

開発チームの中の人から連絡をもらう

Chedで生成したデータが利用されていることを認識した後に、プロセカの開発チームの中の人から連絡をいただきました。

実際に譜面データ制作の部分でChedを利用していること、ライセンスについて記載が漏れていたことを共有いただき、クレジット欄へライセンスを記載いただける旨であったため了承し、追加で利用に至る背景についても伺いました。

現在プロジェクトセカイでは、Paralleltree様が開発されておりますChedを
譜面データの生成部分で使用しており、
MITライセンスに該当する表記も記載していない状況が続いておりました。

(中略)

今後の対応につきまして、
早急にライセンス表記をアプリ内に追記させていただく予定です。

また、その上で、自由度が高く、満足いく譜面データの生成が出来る
Chedを継続使用させていただきたいと考えております。

利用の背景としては以下の通り返信をいただき、可変レーンの音楽ゲームを作成する上で既存の資産として活用しやすかったのかなと考えています。

今回のリズムゲームのシステムを検討する中で、
直感的に譜面制作データを打ち込むことができることと、
出力されるsus形式の仕様がまとまっていて開発する際に読みやすく、
設定項目が多くて応用が利きやすかったためとなります。

クレジット欄にライセンスを記載いただく

翌週には実際にクレジット欄を更新いただき、ライセンス表記が追加された状態となりました。

開発者としての見解

もともと@kb10uy制作のSeaurchinに対応した譜面エディタとして開発を始めたChedですが、3年を経てこのような形で利用され感慨深いです。
期せずしてではあったものの、音楽ゲームに欠かせない譜面データの制作に貢献することができ、光栄に思います。

Twitter上で多少拡散されたこともあり、オープンソースソフトウェアの利用として問題があるのではと一部で指摘する声もありましたが、今回のケースでは以下の理由から特に問題ないと考えています。

  • 音楽ゲームを動作させるために必要なライブラリではないこと
    • Chedで行えるのは譜面データの作成、出力までであり、ゲームプレイとの直接の関連性は薄いと考えられます
  • 一般に生成物にはライセンスが適用されないこと
    • Chedのソースを内部で直接使っている場合はライセンス表記の必要性も出てくるかと思いますが、データの性質上可能性としては低いと考えられます

おわりに

商業アプリケーションにおいて、通信ライブラリ等はオープンソースソフトウェアが利用されることも多いですが、ゲーム内アセットデータの作成用途としてアプリケーションが使われる珍しいケースだったのかなと思います。

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